杖道とは

杖道について

杖道(じょうどう)は、「杖」(じょう)と呼ぶ木製の棒、および木刀を用いる武道です。杖は長さは4尺2寸1分(128cm)、直径2.4cmの白樫の丸棒を用い、木刀は三尺三寸五分(101.5cm)、柄の長さ八寸(24.2cm)の白樫の木刀を使用します。攻撃よりも変化に応じて相手を制圧する事を本旨とする武道です。
今から約400年前に夢想権之助勝吉により創始され、福岡藩に連綿として伝えられてきた「神道夢想流杖術」を起源とします。
その「神道夢想流杖術」を基に、「全日本剣道連盟杖道」が制定され、現在、全国の会員が統一した指導により修行が行われています。

段位は1級から初段⇒二段⇒三段というように段が上がり、最終的には八段までの段位があります。また、日本各地に支部を持ち、道場単位で活動するとともに、県大会(8月)・全国杖道大会〈神道夢想流杖道振興会〉(隔年)・全日本杖道大会〈全日本剣道連盟〉(10月)などの大会があります。

杖道の形は、杖と太刀(木刀)が相対し演武します。男女、女性同士でも組むことが出来ます。
大会で行う試合は、二組が同じ形を演武し、審判が勝ち負けを判定します。
形武道であるため、剣道のような防具をつけての打ち合いもありません。
年齢、性別、体力、武道経験等に関係なく誰でも気軽に始められ、
いくつになっても生涯の趣味として長く続けられる武道です。


夢想権之助勝吉について

夢想権之助は、はじめ天真正伝香取神道流の奥義を極め、鹿島直心影流の剣の極意をも授かりました。
武者修行時代に一度、宮本武蔵に挑戦し敗れましたが、その後、福岡県にある宝満山に籠り、「丸木をもって水月を知れ」との神託を授かり、剣によって得た真理を応用工夫し4尺2寸1分 直径8分の樫の棒を作り、これを武器として槍、薙刀、太刀、体術等の武術の特徴を総合的に取り入れた杖術を編み出します。
その結果、再び武蔵と立会い、ついに破ったと伝えられています。
その後、権之助は黒田藩に召しかかえられ、藩士の指導にあたり十数人の師範家を起こし盛大に指南せしめました。

『武芸流派大事典』によれば、霞流の桜井大隅守(諱は吉勝)を師とし、弟子は小首孫右衛門(諱は吉重)がいたと伝えられています。
以来この杖術は黒田の杖と呼ばれ、藩外不出のお留め武術として福岡黒田藩に継承されてきました。
また、『武芸百人一首』では「武道をば 神の夢想ぞ権之助 自らゆるす天下一かな」と詠まれています。

杖道の精神について

杖道は攻撃を主とせず、相手の攻撃に応じて変化し制圧するのが本旨であって、その指導精神は

傷つけず人をこらして戒しむる
教えは杖の外にやはある

という古歌にあるとおり、形の多くは後の先で始まる。

※全日本剣道連盟杖道(解説)から抜粋

杖道を学ぶ目的とその効果

杖道は精神の修養と身体の鍛錬を第一義とする。決して手足の技ではなく心の技で、その目的は精神修養にある。
杖道修錬の効果は数多いが、主として次の5点をあげることができる。

1 礼儀、信義、誠実、忍耐等の精神が養われる。
2 身体を強健にし、活動を敏活にする。
3 姿勢態度がよくなる。
4 判断力、決断力が養われ、自信をもって事に当たれるようになる。
5 対人関係がよくなり、社会生活に必要な協調性が養われる。

※全日本剣道連盟杖道(解説)から抜粋